• “ R E A L ”

    2015.11.22

    大阪W選挙プロジェクト

    SEALDs KANSAI

  • ABOUT

     

     11 月 22 日に行われる『大阪市長選及び大阪府知事選挙』において、大阪維新の会の候補者は、今年 5 月の住民投票で否決されたはずの「大阪都構想」をふたたびもちだし、大阪の「副首都」化による経済活性化などを訴えています。

     

     しかし、私たちは抽象的なビジョンの是非を判断するまえに、これまでの維新政治が大阪になにをもたらしてきたのかをふりかえる必要があると考えました。そこで SEALDs KANSAI は、維新政治の改革の影響を受けてきた現場を取材し、生の声を集めるプロジェクトとして、"REAL" を立ち上げました。

     

     センセーショナルな未来志向のスローガンよりも、日々の生活現場の具体的な問題を冷静に見つめた、歴史的な判断が求められています。私たちは、自由と民主主義を尊重し、現場の「リアル」に即した政治を求めます。

     

     

    NOW IT'S OUR TURN TO BE IN CHARGE
    SEALDs KANSAI

     

  • vol.7 大阪府中小企業社長

    【中小企業のリアル】

     

    ―原田さんについてお聞かせください。


    「大阪府藤井寺市で、もう 30 年近く、コンピューターのプログラムを作る SE (サービスエンジニア)の会社を経営しています。 1 人でやっています。

    バブル崩壊後、日本の仕事の形態が変わりました。「海外に出ていけ」という風潮で、みんな海外へ出ていってしまったような環境の中、僕らみたいな少人数でやってる会社は生き抜くのが難しくなってきました。」


    ―大阪維新の政治が始まってから状況に変化はありましたか?

    「日本には大きくわけて大企業と中小企業という 2 つの分類があります。資本金何億以上っていうのが大企業。一方中小企業はめっちゃ幅広い。テレビで CM をばんばん流すような会社から、 1 人でやってるぼくの会社まで全部が入ります。商店街の八百屋もラーメン屋も全部中小企業の中に入るわけです。でも、大阪では大企業と中小企業の 2 つの枠組みで政治を行っている。

    大阪維新になるまでは、中小企業対策として、それなりの規模の予算を持っていました。でも、大阪維新になってからそれが 3 分の 1 になった。今、商店街でイベントしようとしてもなかなかできないし、商店街通りの補修も出来ず、荒廃が進む一方なんです。」


    ― 3 分の 1 になった予算はどこに使われているんですか?

    「総額が 3 分の 1 になったうえに、中小企業といっても体力のある立派な会社に使われている。でも、 10 人以下 5 人以下の企業って大阪全体の 8 割 9 割なんですよ。その人らこそが困ってるのに、そこに対しては何もしない。どうやって大阪は発展するんでしょうか。」


    ―去年、国で小規模企業振興基本法が制定されましたね。

    「5 人以下の企業を小規模企業として、大切にしましょうという法です。そういう規模の会社が日本を支えて、日本を作ってるんだと。自治体は小規模の企業をどう発展させていくか考えなさいという法律なんです。」


    ―大阪では活かせないんですか?

    「去年 6 月にできてからすぐに府にも市にも掛け合いましたが、「今勉強してます、国の指示を待ってます」の一点張り。法には基礎自治体でやりなさいと書いてあるんですがね。

    小規模企業対策で国から降りてくる何十億というお金は、中小企業の現状調査をする人を雇うのに使ってるんです。そういうの調査するのは大手のコンサル会社。そこが何千万も持って行って調査をするんです。で、ぼくらが窓口に行くと色々統計を出してきて、「 10 人以下の企業はすごい困ってます。 5 人以下のとこは特に困っています」と言われる。でもその先で何かやってくれるわけではない。

    この小規模企業振興基本法には、話し合いの場を作りなさいと書いてあるんですが、それすらしない。」


    ―大阪維新の政治によって、ほかに変化はありましたか?

    「おおさか維新の会の言う「二重行政の解消」の中で府と市で 2 つあった大阪の信用保証協会が府だけになった。小さな企業にとって、銀行と直接取引して直接お金を借りるというのはなかなか難しい。そういう時、信用保証協会が保証人になってくれていたんです。」


    ―府から借りることはできないんですか?

    「大阪市は基礎自治体なので、より地域に密着していて、生身の実感で折り合いをつけてくれる。でも、府ではまったく話がかみ合わない。「文章を頂ければ部署に伝えます」とだけ言われ、もう5年も6年も返事がない。「困ってるのは知ってるけど“中小企業対策”でやってます」の答えばかりです。資金っていうのは事業続けていく上での大事な要素なんですが、それを一番の無駄やと言われてしまうと、大阪で仕事するなと言われているのとおんなじです。

    中小企業対策って聞こえはいいけど、要は大きな会社に外から来てもらいやすくするための策。固定資産税とか安くするから大阪府で建ててくれってことですね。でも現実は、大阪府の企業って、転入と転出と比べたら、出て行ってるほうが多い。兵庫県や京都府は増えてるなか、大阪だけが減り続けてる。」


    ―外から企業が来ると、雇用が増えて経済は活性化しないんですか。

    「大きな会社が来れば、そこには雇用が生まれるというのは大きな勘違い。大きな会社にはそこの関連の派遣会社から人がくるので、地元の人はほとんど関係ないんです。」


    ―中小企業を存続させることにはどんな意味が?

    「ぼくのとこみたいなちっちゃな会社が、お年寄りや色々な事情を抱えた人への多様な雇用形態をずっと守ってきたんです。「身体が悪いから短時間労働で」とか、普通のアルバイトではできないですよね。で、そういう人らが仕事ができずに生活保護に陥る。小さな会社はそういう人らの受け皿なんです。それがどんどんなくなってるんやから、生活保護が増えるのは当たり前。」


    ―今、おおさか維新の会は中小企業対策を掲げてますね。

    「橋下さんは中小企業で儲けたかったら海外行けと知事時代から随分言うてましたね。でも、商店街のおっちゃんに海外行けとか意味がわからないでしょ。今回も期待していません。彼は現実をわかっていない。」


    ― 11 月 22 日には大阪ダブル選挙があります。

    「不景気でも、少し努力すれば商売できてなんとか生活やっていける土台と展望があることはすごく大切。生活していくためにやってるような小さな企業を支えるには、みんなが地元のことを思いながら協力する必要がある。それがベースにあるような社会になってほしい。」

  • Vol.6「高校生に笑顔をくださいの会」メンバー

    【子どものリアル】

    ―はなこさんについて教えてください。

    「中学生の時にお母さんが亡くなりました。 兄がいるんですが、彼は父親のことが受け入れられず、家庭内の空気は最悪でした。中学生の時は家にいることがつらく、勉強も落ちこぼれました。学校にも行かなくなり、テストも受けられなかったので内申点もなく、私学の高校に行くことを決意したんです。

    そんな中、私が高校 1 年生の冬に父親が仕事をやめました。生活は苦しかったけど、まだその頃はなんとか学校に通うことができていました。」


    ―私学高校への助成金カットは何年生の時ですか。

    「高校 3 年生の春ごろです。橋下さんの原理では、私学の学校は自分たちで生き残らなければいけないと。助成金をカットされた私学高校は運営のために学費を値上げし、生徒を集めるために必死に大学進学率や資格取得率などをアピールするようになっていきました。」


    ―「高校生に笑顔をくださいの会」について教えてください。

    「 ちょうど橋下さんが、私学高校への助成金削減のプランを打ち出したときに、大阪の私学高校に通う高校生たちと作りました。友達がお金を原因に学校をやめていく姿や、自分自身の高校生活に危機感を持った仲間が集まった。皆で、大阪の街角に立って高校生を対象に助成金のカットについてメッセージを貰ってまとめました。それを持って「直接想いを伝えたい」と、府庁に通い詰めたんです。そして、活動開始から半年後の 10 月に橋下さんに会えることが決まりました。」


    ―橋下さんと対談した高校生たちが泣いてる姿が印象的でした。

    「はじめに、代表をやっていた子が、橋下さんに自分たちの思いや家庭環境などを伝えようとしました。でも、橋下さんは話の腰を折って「日本の GDP を知っているか?」などの質問を何度も投げかけてきました。その子の話している内容とは全く関係がない質問です。彼女も緊張している中でうまく答えられず、その部分をメディアが切り取りました。

    またある子は不登校で、内申点がなかったんです。私学は公立と違って面倒見がよく、卒業までサポートしてくれるのがいいところ。その子は中学の先生に私学を勧められました。生活保護を受けている家庭に育った子です。その子に対し橋下さんは、「不登校で学校に行けなくなるくらいなら、転校して違う学校に通えばよかったんじゃないのか」、「なんでそれをしなかったんだ」と詰め寄ったんです。その子は泣いてしまった。その子がどれだけの思いで不登校になり、苦しんできたことか。」


    ―あの対談のあと、何か反響はありましたか。

    「もちろん非難もありましたが、反響も大きかったです。ちょうどその頃から、給食費の問題など「子どもの貧困」がクローズアップされるようになった。各選挙でもマニフェストにその解決が掲げられるようになり、橋下さんも、条件の所得に上限はあるものの、私学高校の学費を無償にしました。
    でも、助成金はカットされたままで、依然私学高校の運営は厳しい。結局学校の競争体制自体は何も変わっていないんです。」


    ―はなこさんが通っていた私学高校はどんなところでしたか。

    「中学生のとき学校がしんどかった子や、それこそ死にたいと思っていた子もいました。その子たちが、高校に来て学校や生きることが楽しくなったと語っていた。一人一人に手厚い教育があったからこそだと思います。
    橋下さんはいじめられたなら転校すればいいと言うが、いじめられた子を淘汰・排除してなんの解決になるんだろう。その子が抱えることになる社会への不信は計り知れません。」


    ―はなこさんは教員免許も取ったそうですね。大阪にはどんな教育を望みますか。

    「生きることを励ますような教育を望みます。自己責任という言葉は、本当に子どもたちを無力化させる。親が離婚してお金がないと言っている子どもに"それは自己責任だ"って、そりゃ無気力にもなります。子どもって、そんな責任を負わされていい存在じゃない。むしろそのしんどさに寄り添ったり、支えるのが大人や社会、そして政治の役割。政治家の責任でもある。

    家がしんどい子にとって、学校はひとつの居場所でありシェルター。そこをしんどい場所にしてはいけないとも思っています。」


    ― 11 月 22 日は大阪ダブル選挙がありますね。

    「子どもがいなければピンとこない問題かもしれませんが、教育のことを考えることは日本や大阪の未来を考えることやと思います。」

  • vol.5 赤バス・市バス元運転手

    【交通機関のリアル】

    ―下田さんについてお聞かせ下さい。

    「大阪の交通局で市バスの運転手として約 36 年働きました。保育所や学校から学校の行事や試合などでバスを出してほしいと要請があれば、いつものダイヤとは別で直ぐにバスを出したりもしていました。バスの台数も運転手も多かったからこそ、できていたことだと思います。市民の要望にすぐに応えることができてたんです。でも今は、バスの台数も運転手も減ったので、交通局は市民の急な要望には応えることができません。」


    ―赤バスとはどういったバスですか?

    「赤バスは普通のバスとは違って、福祉バスです。バス停とバス停の間隔も 200 メートルほどで、普通の距離の半分です。路線バスが通らない路地裏を通り、採算を度外視して、乗客が 5 、 6 人でもいいから住民が必要なところを走らせるということで作った、素晴らしい制度でした。地域に密着して、他が補えないとこを補っていたんです。区をまたいで必要なところや、病院などにも行けるようにしていたんです。交通空白地域など元々交通が不便な方のほか、ご高齢の方や、車いすの方、通院中の方など、通勤・通学とは別の目的での利用者の方々が多かったです。そのような人たちにとって、赤バスはすごく大切な存在なんです。車いすだって路線バスなら一台しか乗れませんが、赤バスは二台乗れるように作られているし。

    でも、採算を重視する維新政治によって「空気を運んでいる」などと言われ、赤バスは廃止されました。利用者の方から撤回の要望が多くありましたが、受け入れられませんでした。利用者が少ないという理由で廃止されては、市民の方々の負担が増える一方です。いま、私たちはご高齢の方々だけでなく誰でも乗れるような、地域コミュニティバスの提案を考えています。しかし、そんな時でも住民の声を聞かない人が代表ではやっていけません。今の大阪は、住民の意見を聞いているとは思えません。」


    ―ほかに変化はありましたか?

    「今までは、採算だけでなく市民のことも考えやってきたんです。大阪維新は、バスは赤字だから必要がないと言わんばかりです。でも、バスが赤字なのは当たり前なんですよ。たとえば、堺筋なんかは交通量が多くてバスは走れないので、地下鉄を通した。バスと地下鉄が補い合っているんです。そういうことは、私たち働く者たちが意見を出し合って実現してきました。
    敬老パスは高齢者の外出を支援してきましたが、 2013 年から利用負担金として 3,000 円の更新料を徴収されるように変えられた。そしてそれまでの敬老パスや、バスから地下鉄の乗り継ぎなどを含めた 15 億ほどの負債の多くは、バスのマイナスとしてカウントされました。地下鉄は黒字だから負担しなくていいよということです。

    また、バスの運行回数を減らしたため、夜間の帰宅時にバスがなくタクシーを利用しないといけなくなった。交通が不便なところほど影響は大きい。現在、大阪市が直接営業しているバスの路線は 3 つしかありません。以前は運転手に 2 か月の教習期間を設けていましたが、下請け民間に任せてからは、各自がどうしているかわかりません。交通局全体としても信用に関わったりしてくると思います。バスが赤字だからそこを減らすという発想ではなく、交通局全体で支え合う必要があります。」


    ―働いている方には影響がありましたか?

    「大阪維新の会の政治によって、わたしたちの元に残ったのは、不便な街と運転手の待遇の悪さ、民営化による問題です。給料の問題や退職金の問題もあって、バスの運転手が集まらないんです。市バスなどの運転手は人間を運んでいますが、貨物を運ぶバスもあります。人を運ぶのと貨物を運ぶのとで給料に差がないなら、募集しても来ないのは当然かもしれません。本当に今、利用者側も運営側も大変です。」


    ― 11 月 22 日には大阪ダブル選挙がありますね。

    「住民の声や若者の声、人の意見をしっかり聞く市政を求めます。そうやって、輝く大阪を作りたい。皆の声を聞き、皆で街づくりをするような大阪にしたいです。住民の言うことは聞かず、自分の言いたいことだけ言う政治家は必要ありません。」


    ―本日は貴重なお話をありがとうございました !

  • vol.4 元府立高校職員

    【教育のリアル】

     

    ―志摩さんはいつから関西にお住まいなんですか?

     

    「学生時代に神奈川から関西へやってきて、そのまま就職しました。大阪の南の方にある、当時の泉南高校 ( 統廃合により、現在「りんくう翔南高校」 ) というところで教員をやっていました。」

     

     

    ―大阪では 2008 年に橋下さんが府知事に就任しましたが、それによって大きな変化や影響はありましたか?

     

    「それはもう、めっちゃ変わりました。橋下さんは、教育は「効率」が優先だと言うんです。コストを下げて、最大のサービスを引き出すという「市場原理」を教育の場に持ち込んで、競争競争…。彼は、「教育とは 2 万パーセント強制です」と言って、上からの圧力がないと教育なんてできないんだということを一生懸命おっしゃるんです。そうやって、会社を経営するのと同じような感覚を教育に持ち込んだ。自由に競争させて、負けたものはどんどん切り捨てていくと。教室で一人一人の子どもと向き合う教師の声は無視し、会社と同じようにトップが下した命令の通りに教員は動けばいいというんですね。」

     

     

    ―学区の区切り方にも変化がありましたね。

     

    「もとは 9 学区あったのが 4 学区になり、さらに全府 1 学区になりました。

     

    その一方で「進学指導特色校」が 10 校決まり、特別な予算がついた。その時橋下さんは「学区を取り払ったら東大や京大に 300 人入れる学校が作れるんだ」とおっしゃっいました。要するに有名大学への進学実績を上げるエリート校を作るという事なんです。

     

    そういう学校が作られて学区が取り払われると、大阪府全体で子どもたちの間に競争が起こり、それに伴って学校の序列化というのが府全体規模で始まり自然にランク付けができてしまうわけです。」

     

     

    ―子供たちにはどんな影響がありますか。

     

    「橋下さんは『学区が取り払われたら自由に学校が選択できるからいいじゃないか』と言いました。しかし実際は、どこでも受かる子は自由に選択ができますが、成績のあまり振るわない子は地元の学校にいきたいと思っても叶わない。そんな中、 3 年間定員が割れたら潰していくという条例が作られたんです。成績が振るわない子供たちの行く学校がなくなればその子たちはもう行き場が無くなるわけだから、高校教育そのものが保証されなくなる。さらに私学高校への助成金がばっさりカットされ、授業料があがったので、全日制ではなく定時制や通信制に行くしかない子どもが増えました。

     

    大阪の学級数は、平均すると1 学年8クラスです。だけど全国平均は 6 なんですよ。ということは 4.5 クラスとか 3.8 クラスとかの県もたくさんあって、平均したら 1 学年 4 クラスしかないというのは全国的には普通なんですね。

     

    ところが大阪では学級数が 6 クラス規模よりも減ったら小さすぎて、教えていくことに支障が出ると言うんです。 40 人学級にしているから今定員割れが起こっていますけど、これは 35 人にしたら定員割れでもなんでもないわけです。人数が減ってきたなら1クラスのサイズを減らして「条件」をよくしたらいいんです。」

     

     

    ―小学校や中学校には、何か変化はありましたか。

     

    「全国学力調査が行われましたが、あれは調査ですから、それに向けて勉強をしたり、それの成績を何かに使ったりしてはいけないというのが大きな約束です。ですから本来その点数が上がろうが下がろうが構わないのです。しかしマスメディアによって、全国平均を上回ったかどうかが報道され、競わされる節がある。そして大阪は全国平均を大きく下回った。その背景には、大阪の経済が落ち込んで家庭生活が悪化、子どもたちが十分勉強できない状況があるんです。にも関わらず、とにかく結果を出せと。」

     

     

    ―廃校になる学校の生徒さんはどんな反応ですか?

     

    「廃校にするときは、最後の学年を入試でいれて、その子たちが 3 年生になって卒業するまでは学校を残すことになります。だから毎年 1 学年ずつ減っていくことになるんですね。

     

    生徒数が減るので教職員の数も減らされていきます。でも校舎の広さは変わらないし、植わっている木の数も変わらないしトイレの数も変わらない。そうすると、先生たちの目が行き届かなくなってだんだん学校が荒れてくることがあるんです。あるいは後輩がいない学年はすごく辛いですよね。部活でも自分達が最後、卒業式でも見送ってくれる人がいないわけですから。やっぱり子どもたちはメンタルの面でもものすごくダメージを受けるんです。

     

    生徒たちの中から、「結局、自分たちが勉強ができないから学校が潰されるのか」と声が出るんです。「いつもこうだ」って。勉強ができなかったらすぐこうして割りを食う、見捨てられると。それは、社会への不信感につながっています。」

     

     

    ―今月 22 日はダブル選挙があります。

     

    「やっぱり教育のことだけでなくてこの 8 年間の大阪維新の政治では、あらゆるコストや効率に見合わないものを切り捨てる、「経営者」の目線で動かされてきた。でも、福祉や教育や暮らしは儲かるか儲からないか、コストがかかるかどうかではなくて「必要かどうか」が基本だと思うんです。そういう当たり前を取り戻したいなと思っています。」

     

     

    ―貴重なお話をありがとうございました !

  • vol.3 大阪市民・1児の母(匿名希望、Aさん)

    【住民のリアル】

     ―Aさんはずっと大阪府内にお住まいなのですか?

    「私は大阪市で生まれ、中学時代は堺市で暮らしました。当時、地元には公立高校が少なかったのですが、黒田了一府政の誕生以降、「15の春を泣かせない」のスローガンで公立高校がどんどん建てられました。高校受験の時は、経済的に厳しい家庭の同級生が「これで公立高校に行ける!もうちょっとがんばって勉強するわ」と言って新設公立高校を受験し、見事合格したのです。その時の喜びにあふれた友人の顔は今でも忘れられません。これが府民にあたたかい政治なんだと子ども心に感じたものでした。思えば、今の府政・市政の冷たさを心底感じているのは、この15歳の時の経験があったからだと思います。」


    ―2008年に橋下徹氏が府知事に就任してから何か変化はありましたか?

    「18歳の時に大阪市内に引っ越し、その後大阪市内で家庭を持って、仕事をしながら子育てもしています。
    私は、住吉市民病院で出産しました。住吉市民病院は私たちの地域では、産科・小児科の充実しているところとして有名でした。事実、息子は出産直後に呼吸困難となりましたが、直ぐに人工呼吸などの適切な処置をしていただき、緊急時に設備・スタッフが整っていた病院で本当に良かったと心の底から思いました。その病院が二重行政の名のもと、なくされようとしています。私にはそれが、「2キロ先の府立の病院へ行ったらいい」という安易な判断のように思えます。住む場所によっては、府立の病院は遠かったり、交通が不便な所もあるでしょう。妊婦さんにとって、近くの病院がなくなってしまうことは大変なことだとわからないのでしょうか。わかっていて採算あわないから切り捨てるのでしょうか。妊婦さんを大切にしないのが現大阪市長であり、これまでの大阪での維新政治なのだと思います。

     今も子どもたちが病気の時には、バス停すぐの市民病院に通院し、精密検査を受けたり、入院したり、安心して医療を受けられています。そういった、かかりつけ医と連携した地域医療の仕組みを壊すことは、子どもの健康を守る気がないということなのです。

     また、私の両親がすぐ近所に暮らしていますが、二人とも90歳近い高齢者です。当然、通院が必要なことが多いのですが、敬老パスの有料化に困惑しています。チャージという仕組みがわからず、結果、もう地下鉄を利用しないと言っていました。近隣の高齢者の中には、50円の負担はあまりに大きく、もう公共交通機関を利用しようという気持ちがなくなったという方もおられます。

     母親の立場として、教育の現場についても懸念があります。息子の高校受験の時期から、入試制度がどんどん変わり、異常や過剰とも取れる高校の序列化と競争が生まれました。そして、やっと息子が公立高校に進学したと思ったら、民間校長が赴任され民主的な高校をつぶす学校運営がなされました。その校長先生が自衛隊出身だったということもあり、防災講演会と称して軍服を着た自衛隊員が高校生に隊員募集を呼びかけたこともありました。私は、教職員の方々が反対意見も言えず議論もできない場になってきたことに対して、大変な危機感を持たずにはいられませんでした。

     小中一貫校と称して教職員の人件費を削り、保護者や地域の反対運動があるにも関わらず、どんどん幼稚園や高校をつぶすやり方に、子供達を大切に丁寧に育てるという意識がまるで感じられません。」


    ―今月大阪ダブル選挙がありますね。

    「これまで8年間、大阪でなされてきた大阪維新府/市政は、子ども、青少年女性、新婚家庭、子育てファミリー、病人、障がい者、お年寄りに必要な施設・施策・事業や、心を豊かにする文化をことごとく切り捨て、反対している人を汚い言葉で罵ってきました。自分の生まれ育った大阪がどんどん壊れていく…そう感じ続けてきました。

     5月の「大阪都」構想住民投票での勝利で安心していたら、今回の選挙でまた「都構想」が持ち出されました。「都構想」が実現すれば大阪市は解体され、政令指令都市ではなくなります。財源や権限が大阪府にとられ、カジノなどの大型開発に回されてしまいます。カジノによって、ギャンブル依存症の人が増えるのではないかという不安があります。また、カジノなどの大型開発に財源を回すことで、近いうちに来ると言われている大地震や大津波の対策はおろそかにされ、多くの人が被害を受けるんじゃないかという不安もあります。それらの理由から、大阪市民、府民である私は「都構想」に反対です。

     これまでの大阪での大阪維新による政治を見ると、民主政治の素晴らしさを知らないのではないかと思うし、それが今後実現できるとは、到底思えません。このような政治はこの選挙でストップさせたいです。」


    ―今日はお忙しいなか、ありがとうございました!

  • vol.2 大阪国際児童文学館を育てる会

    【文化のリアル】

    ―大阪国際児童文学館とは、どのような機関なのでしょうか?

    「早稲田大学教授(1979年当時)で、自身が少年時代軍国少年だった反省から子どもの本の書誌学を研究していた鳥越信さんという方の元には、出版社や古本屋から新しい本や珍しい本が多く送られていました。鳥越さん自身が学生時代から集めていた児童文学資料も合わせるとその数は12万点にも及び、彼はこれらをどこかへ寄贈して児童文学のこれからに役立てたいと考え、全国にアピールをしたことがはじめのきっかけです。

     鳥越さんが構想したのは、レファレンスサービスがきちんとできる、研究者による研究機関でした。そのアピールを大阪府が受け取り、当時の岸昌大阪府知事の強い要望と、約束文書(①適地に館を新しく建てる(書庫増築が無限に可能な万博公園内とすでに決まっていた)②大阪府が財団法人を立ち上げ、館運営を委託し経費を補助する)により、大阪で具体化することが決まりました。

     そして1984年5月5日に万博記念公園内に大阪府立国際児童文学館がオープンしました。オープン当初12万点だった資料は、鳥越さんや大阪府の心意気が全国の出版社ほか多くの人々を惹きつけ、2008年には70万点にまで増えました。府の予算で購入したものもありますが、7割が寄贈本です。日本国内だけでなく、海外からも寄贈本が届き、また海外からも研究者を招いており、国際的評価も高かったのです。

     文学館の機能としては、子ども室のコーナーは図書館のように一般の方の閲覧が可能で、また児童文学に特化した研究機関でもあり、教授・助教授クラスの専門員8名が常に居ました。例えば、自分の生まれた日に事件が起こる児童文学作品が検索できたり、絵本の読み聞かせをしている時の子どもの様子を観察し、どんな時に子どもがどのような反応をするのかなどを分析、研究をする設計になっていました。
    また、収められている資料はとても貴重で、明治元年に福沢諭吉が子ども向けに書いた本や、作者の手元にすらなくなってしまった本など世界にここにしかないものが多数保管されています。子ども向けの児童文学書はある種消耗品で、一過性のものですが、そういうものを一か所にまとめて保管し、研究するということに大きな意味があると思います。」


    ―大阪国際児童文学館はいつ、なぜ廃止されてしまったのですか?

    「2008年1月に橋下さんが大阪府知事に就任されて、3月20日に児童文学館に視察に来られました。その時に敗戦直後の手書きの、もちろん一点ものの紙芝居を職員が白い手袋をつけて府知事にお見せしました。その約一年後に知事と我々の会談が実現したのですが、その時に橋下さんはこの白い手袋が『僕の価値観には合わない』とおっしゃった。それは、大阪府が今後も館運営を財団法人に委託し、経費を補助し続けるべきでないという彼の方針を意味していました。

     橋下さんは2008年4月に財政再建プロジェクトチームをつくり改革案を出しますが、その時から文学館は廃止とされていました。彼は、『全施設をゼロベースで見直す』としていましたが、児童文学館についてははじめから廃止するつもりでいたみたいです。そして、一番の問題を本が増え続けることだとして、財団法人をなくして市町村の図書館と任務分担して本を分けるという方針を打ち出しました。
     国内外の存続要望を受けて同年6月、財団法人は「根本的な見直し」と書き換えました。そして府議会では全会一致の存続要望請願が採択されましたが、橋下さんは『大阪府立中央図書館へ移転することで利用促進につながる』という答弁で無理やり廃止を押し通しました。
     2009年12月27日、ついに文学館は閉館し、翌年1月に70万点の資料が東大阪市内の大阪府立中央図書館へ移転されたのです。

     この行政の独断専行を司法が裁くことはできないのか、様々な方法を模索しましたが、閉館差し止めの行政訴訟は難しいとのことで、寄贈物返還訴訟を起こしました。返還されたら、もう一度文学館を作り直せるんじゃないかとの思いでの訴訟でした。しかし、開館当時、岸大阪府知事と鳥越さんとの間に「寄贈物返還」についての文言がないことを根拠に一審、二審ともに完敗でした。
     鳥越さんも初めから大阪にこだわっていたのではありませんが、大阪府が他の候補県を押しのけてやると言ったんだから、きちんとやってほしいのです。私たち、本を寄贈する者は今後も50年、100年と続いていくつもりで本を寄贈しているのですから。」


    ―今、70万点の資料はどのように保管されているのですか?

    「東大阪市にある大阪府立中央図書館の地下に書庫があり、そこで70万点の資料を保管しています(財団法人が生き残ったおかげで寄贈が続き、今は70数万点に)。しかし問題は、その運営が財団法人(専門家集団)ではなく、大阪府の直営になっていること。つまり図書館の司書が対応していることです。
    今、財団から二人が府立中央図書館に非常勤で、非正規労働として勤めていますが、その任期も今年度末で切れてしまいます。来年度からは司書が運営することになり、研究員が不在になるのです。府は専門の司書を育成すると言っているが、そもそも研究員と司書の仕事は違います。研究員はすべての資料に目を通しますが、司書にはそれは職務として義務付けられていないのです。」


    ―11月22日にダブル選挙がありますね。

    「橋下さんが府知事になったために、文学館の国際活動と研究機能が廃止されてしまった。彼は、文化財の貴重さや、歴史的意味がわかっていないんじゃないか。
    東大阪市の府立中央図書館は、児童文学館が元々あった万博公園内と違い、増築できない規制地域にあります。資料70万点は6億円かけて東大阪市へ運んだが、建物は壊すのにも数億のお金がかかります。そして現在は、大阪府が無人の倉庫として使用中。これに勝る無駄遣いはないでしょう。
    これまでの政治が続くようであれば、資料の分散や、運営の民間委託など、状況が悪化するのではないかと危惧しています。」


    ―今日は貴重なお話を本当にありがとうございました!

  • vol.1  大阪市内私立保育所

    【福祉のリアル】

     

    ー 2008 年に橋下徹氏が大阪府知事に就任してから保育園への影響はありましたか?

     

    「 2008 年よりも、橋下さんが大阪市長になった時からが影響は大きいね。まず、保育者 1 人につき 1 歳児を何人まで見るかっていう対応人数の最低基準が 1:5 だったのが 1:6 にかわった。保育者 1 人で 6 人の 1 歳児を見ることになります。災害の時なんか本当に 6 人連れて避難できるのかって考えたらすごい怖いですよね。実は国の基準は 1:6 で、これを 1:5 にするために市が補助金を出してたんやけどそれがカットされた。保育所へ入りたくても入れない子どもをなんとかするためにっていう理由で。それと抱き合わせで、子ども 1 人当たりに必要な面積の基準を全年齢一律 1.65 ㎡に引き下げて、大阪市が全国で一番低くなった。この決まりは 3 年間の期限がついてたんやけど、子ども子育て新制度が施行されたときに大阪市だけ現状を保つことになった。つまり更に 5 年延長された。そうやって、定員を越えた状態になった保育園が、「 5 年後にはもとの基準に戻すから準備しとけ」って言われてれてるんです。また、保育園で子どもを預かると国から補助金が出るんやけどそれがすごく低い。それに、自治体が補助金をプラスすることで保育園はなんとかやっていけてるのに、大阪市はその補助金がめっちゃ少ない。都市部は物価も高かったりするし、かなり厳しい。」

     

     

    ーもし、国と自治体の補助金では保育園を運営するお金が足りないってことになったら、単純に保護者への負担が大きくなるんですか?

    「保護者が月に支払う保育料にも影響はあるし、保育園っていうのはマンパワーが問われる。「手厚い保育」というのは、保育者の人数がすごく大切。お金が少ないと国の最低基準にまで保育者を減らすことになる。」

     


    ー補助金が減ることは子どもにとっては先生が少ない環境になるってことなんですね。

     

    「基本的に補助金ゼロベース、補助金を全部切っていって「国の定めてる基準やからええやん」っていう考え方の市長やから、こういう「子どもにとって…」っていう細かいところまではわかってないのではないかと。他にも、福祉施設の水道料金の減免制度がゼロになりました。もともとは、福祉施設は水道料金の 40 %を減免されてたのに段階的に 20 %に減り、昨年の 4 月からゼロになった。」

     

     

    ーえっ、それって福祉施設の水道料金が一般家庭と同じってことですか?


    「そうそう。夏はプールとか水遊びなんかしたらすごい額になるねん。だからプールの回数が減ったり期間が短くなる保育園が増えたね。うちは減らしたりはしなかったけど、毎月水道料金とにらみあってる……。もともとすごく少なかった補助金がさらに切られるからすごく経営が大変。」

     


    ー大阪維新の会は、 5 月に住民投票で否決された「大阪都」構想を再び掲げ、そこでは「福祉を強化!」と謳われていますが、期待できますか?


    「これまで補助金をどんどんカットしていて、ほんまに困ってる人に届く補助金の出し方をしてないので福祉の現場はどんどん厳しくなってる状況。こういう状況で今後福祉を強化してくれるとは考えにくいよね。福祉って、地域密着型やねん。今、区の中で子育て、障害者、高齢者の状況をみるのもすごく大変やのに、都構想によってその範囲がもっと広くなったらどうなるんやろう?状況を見れる人はどこから来るんやろう?地域の誰が困ってるのかを吸い上げることはできるのか?という不安はやっぱあるよね。」

     


    ー大阪維新の会は待機児童が減ったと言ってますが、実際どうなんでしょうか?


    「実際は待機児童のカウントのやり方が変わった。保護者が求職中とか、家の近くの園だけを希望する人達を「入所保留児」としてその数をまるまる引いた人数を「待機児童」としたんです。だから実際保育園に入れない子どもの数は全然減ってない。しかも大阪市は入所すること自体が難しくなったんよ。 3 年前までは保護者の雇用形態とかで ABCD のランクに区切っていろんな事情も聞いて決めてたのに、保護者が正規社員で一日に何時間働いてるかとかで 100 点、 90 点…って完全に点数化した。しかもその点数をつけるために保護者が市に提出する書類が膨大。入所を考えてたけど書類の量で諦めたお母さんも居るねん。」

     


    ー保育士が足りないという問題をよく聞くのですが、その理由は何だと思いますか?


    「やっぱり給料が少ないからね。去年公立幼稚園、保育所の職員の給料が下がった。全国的には上げていく動きやけど、大阪市は下げた。なんでかって言うと、公立の保育士と私立の保育士の給料を比べたら公立は公務員やからちょっと高い。僕ら私立の保育士は「上げてくれ」って言ってるけど大阪市は逆に「私立の給料でやれてるねんから公立を下げたらええやん」っていう理屈で下げた。僕達も目指すところがなくなっていく状況やから「もっと悪くなんのかい!」っていう感じで、かなり厳しい状況。」

     

     

    ー 11 月 22 日には、大阪ダブル選挙がありますね。


    「橋下さんが市長になってからの保育状況で大阪の維新政治が良いとは思えない。やっぱり今みんなで集結して大阪維新の会のこれまでの政治を終わらせなあかん。私らの生活は私らで考えるんやっていうのを貫かないとあかんよね。」

     

     

    ー今日は本当にありがとうございました!